*Kstyle 10asia |2012年02月27日20時41分 ペ・ヨンジュン ― ペ・ヨンジュンをたどる旅 多くの人々がペ・ヨンジュンを“南山(ナムサン)タワー”と考えるかも知れない。“南大門(ナムデムン)”や“東大門(トンデムン)”とも呼ぶかもしれない。ソウルの象徴、大韓民国のランドマーク、韓国の宝物である。とても遠くにあるもの、あるいは高いところにあるもの、一時期は美しかったが、もう劣ってしまったり、いつもそこに居るけれど既に存在感を失っていたり。だが、いくら探してもその男はそこにいない。 ペ・ヨンジュンをたどる旅。それならば、この旅はどうやって始めたら良いのだろう。「愛の挨拶」を交わし「若者のひなた」で体を温めた後「冬のソナタ」の雪山を越えて「スキャンダル」の氷の川を渡って、激情的な「四月の雪」で帰ってきて「韓国の美をたどる旅」にこっそり同行でもすればいいのか。このような歴史的構成とは、旗を追って行く団体観光のように退屈だ。ペ・ヨンジュンという興味深い目的地に至るにはあまりにも退屈なルートだ。 ヨン様?彼はただ誰も行かなかった道を歩いただけだ あなたはペ・ヨンジュンを何と呼ぶだろうか。親しみを込めて“ヨン様”としておこう。7年前放映された「冬のソナタ」が、ドラマ一つで“韓流”あるいは韓国で始まったアジア交流の波を起こしたと言っても過言ではない。そしてその中心には風に揺れる茶髪にマフラーをきれいに巻いた、チュンサンが立っていた。もちろんペ・ヨンジュンはデビューの時から“彼見たさに女子大学生たちが群がってきた”(「エコル」1996年)というほどの人気を誇るスターだった。しかし「冬のソナタ」の汎アジア的な成功は“人気”を飛び越す存在感を作り出した。人々は彼に“第一世代の韓流スター”という輝く勲章を与え、まだ不安定な韓流牧場を守る保安官になってほしいと願っている。 世の中にはできることと、やらなければならないこと、そしてやりたいことがある。ペ・ヨンジュンだからこそできることは、ペ・ヨンジュンだからやらなければならないことになってしまった。多分ここまでは多くの韓流スターが体験した過程だ。しかし、彼が2009年に以前と変わりなく東京ドームに5万人を集めるスーパースターとして健在だった理由は違う。ペ・ヨンジュンは彼だからやれること、そしてやるべきことを、自分がやりたいことに変えていった。胸に貼った“国家代表”という名札にペ・ヨンジュンという名前を譲らず“天皇の次はヨン様”という冗談ではない冗談と、当人だったら耐えられない程の高い人気と関心にプレッシャーを感じたり、自惚れたりしもなかった。 ハリウッド行きの飛行機チケットを取るための行列にも参加しなかった。その代わり、誰も行った事がない、海を二つに分けて自分だけの道を開き、のしのしと歩いていった。 もし、あなたがペ・ヨンジュンを“ビジネスマン”と呼ぶなら、彼は韓国でエンターテインメント産業が始まって以後、最も賢くて素早い事業家として残っているだろう。想像できない程の付加価値を創り出しながらも、上品な態度を失わず、俳優として自分が中心となったマネージメント会社を作り出した。しかし、自分の周囲のスタッフとファンを“同行者”や“家族”と呼ぶように、ペ・ヨンジュンが進めている全てのことは“ビジネス”と言うよりは、少なくとも彼自身には“家事”である。この“家事の大王”が日本のファンの前で韓国の風呂敷をたたんで簡単なカバンを作るデモンストレーションをした時、世界のどこにもある小さい布は韓国人の素朴で実用的な精神がこもっている素晴らしい遺産として変身する。「家族の皆さん、今度ソウルで必ず家族写真を撮りましょう」と話した瞬間、ピピッと、ソウルへ向かう何万枚の飛行機チケットが決済される音が聞こえる。 ペ・ヨンジュンという人が動かすビジネス市場は実に巨大だ。しかし、自らビジネスマンであることを拒否する彼は商品を買ってもらうよう物乞いすることも、ファンたちの愛と関心にへつらうこともない。その代わりに趣味を紹介して、知恵を分かち合って、家事の方法を共有する。そして自然に自分が率いる共同体のリーダーとなる。「農夫になる」という彼の夢から“ペ・ヨンジュン村長”が導く“エコビレッジ”の図を自然に描き出したのもこのような理由である。 美しい微笑の後ろにある緻密さ、壮大な人気の後ろにある真心 “本当に美しい”「韓国の美をたどる旅」に収録されたペ・ヨンジュンのいくつかの写真を見たら、自然に感心してしまう。“カッコいい”のではなく“キレイ”だと。いつか彼とのインタビューで、手が本当にキレイだと言ったら、それより荒くて、男らしい反対側の手を突き出して見せられたことがある。99年の作品MBCドラマ「愛の群像」のジェホ役は彼のフィルモグラフィーをひっくるめて、最も異質的なキャラクターだったが、最も彼に近い人物でもある。 「若者のひなた」のソクチュのように彼は多くの作品で生まれつきの貴公子であり、荒いところもあるが、自分の彼女には親しみを見せる王子様だった。しかし「愛の群像」の前半に登場したペ・ヨンジュンは違った。自分に厳しく訓練して、世の中に適応した爪を隠した鷹のようだ。成功のために夜明けの市場で札束を握りしめて、すべて分かっているというような微笑みで女心を掴んだ男。「愛の群像」を書いたノ・ヒギョンは当時のペ・ヨンジュンに対してこのように語る。「ヨンジュンさんはセリフの一つ一つ、些細な話の一つまでに気を遣ってました。本当はどのように読んでもあまり問題ではなかった場合でもです(笑) 完璧主義者?はい、そのようです」 既に印刷された本の一字の誤字を訂正するために、その本一冊一冊に訂正書きを挟む苦労を拒まない人。もし周囲にこんな人がいたら、多分疲れてしまうほどのこの几帳面さと緻密さはペ・ヨンジュンの優しい微笑だけを見た時は、とても想像できないことである。 9月29、30日の二日間、日本の東京ドームでは「冬のソナタ」のアニメーション制作を記念するイベントとペ・ヨンジュンの韓国文化を紹介する本「韓国の美をたどる旅」の日本での出版を記念するイベントが開かれた。5万人近い観客が一日も欠かさず、東京ドームに詰め掛けて、彼の一言で笑ったり泣いたりした。 一日は気球に乗って空を飛んだり、一日はおみこしに乗ってドームを回った。このように日本で行っているイベントを見ていると、自然に「これはとんでもない!」と嘆き、吐きだすしかない。目で見てはいるが、非現実的な気分になることを止めることはできない。もし“宗教行事”という言葉に恐れと嘲りを取り除いたら、この行事は実に宗教集会のようなものではないかという気にさせる。 東京ドームの内外に、あるいは彼の“家族たち”にペ・ヨンジュンは気球に乗って降臨した地球に存在する身であり、敗血症という十字架にかかったが、間もなく復活し、喜んで再びあなた方のそばに現れた若くて美しいイエス様だ。 金銀財宝を恐喝する独裁者ではなく、喜んで貢ぎ物を捧げる優しい王様だ。彼がいつも“家族”と呼んでいるファンは“オッパ”(兄さん)と叫んでいる妹たちではない。このとても美しい男を手に入れようとする過激なファンでもない。かえって静かなところで、変わりない支持をする両親と同じだ。そして息子はその無条件の愛に安心することなく、さらに有り難みを感じることができる。スターという自惚れではなく、公人という重みではなく、人々の愛に報いるための自分だけの方法を探したのは、ペ・ヨンジュンが持っている能力であり、幸運である。 単独者であるペ・ヨンジュン、私たちがたどり着くその男の居場所 本人が本で言及した通り“大王”と呼ばれた唯一の二人の男。土と空のように広開土大王(高句麗第19代の国王)と世宗大王(朝鮮王朝第4代国王)を合わせたモデルがいたら、それは恐らくペ・ヨンジュンの姿ではないだろうか。はばかることなく領土を拡張していた男の手で書かれた、韓国に対する内密な独白である。既存のセレブ旅行での限界と問題点を飛び越えた彼の本「韓国の美をたどる旅」は観光事業のためのイエローページでなく“宝物倉庫”のような韓国の歴史と文化の蓋を開けて、楽しくて仕方がない、好奇心旺盛な少年の楽しい記録である。 そして、もっとも韓国的なことに戻って思考し、行動するが、彼は民族主義の旗を胸に刻み込んだ愛国宣教師ではない。 慶州(キョンジュ)の美しさに感動した瞬間、日本の建築の巨匠である安藤忠雄を思い出し、益山(イクサン)の弥勒寺址を歩きながら、グレン・グールドが演奏するバッハのゴルトベルク変奏曲を口ずさむこの男の後ろ姿には、完全に自分だけの影だけが映っている。彼はいつもここにいる。ペ・ヨンジュンは南山タワーでも、南大門や東大門でもない。隠喩と象徴がいらない単独者ペ・ヨンジュン。そこが私たちのたどり着くその男の居場所だ。 元記事配信日時 : 2009年10月07日11時39分 記者 : ペク・ウンハ、編集:イ・ジヘ、翻訳:チェ・ユンジョン
by joonkoala
| 2012-02-28 06:47
| ぺ・ヨンジュン
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