人気ブログランキング | 話題のタグを見る

毎日新聞8/11☆ザ・特集:グンちゃんに恋して 韓流ドラマ「美男ですね」でブレーク




*毎日新聞     2011年8月11日 東京朝刊
ザ・特集:グンちゃんに恋して 韓流ドラマ「美男ですね」でブレーク


 ◇デビューシングル初登場1位 表紙飾った雑誌は在庫切れ--チャン・グンソクさん
 これは韓流ブームの新しい「かたち」なのか。イケメンであるのはもちろんだが、中性的な魅力も漂わせる韓国の若手俳優、チャン・グンソクさん(24)。テレビや女性雑誌での露出度は落ちる気配を見せない。日本の女性たちが「グンちゃん」に引かれる理由とは。【田村彰子、写真・山口政宣】

 ◇役柄と素顔のギャップ「最高!」/「ヨン様」進化形親しみやすく/かわいい感じ「育ててあげたい」
 7月27日の明け方、名古屋市内は雨が降った。

 名古屋パルコ(中区)の前には、まだ暗い午前3時から人の姿があった。明るくなるにつれ一人、二人と列は延び、午前10時の開店直前には約600人が並んだ。ほとんどが女性だ。

 彼女たちのお目当ては、チャン・グンソクさんの「リラックススペースをイメージした」という企画展「チャン・グンソクの部屋」と、「グンちゃんグッズ」を販売する期間限定オフィシャルショップだ。

 「笑顔が最高。ちょっと肉食系な感じもいい。グンちゃんには生きるパワーをもらっています」

 列の先頭近くにいた会社員の女性(30)は、待ちきれない様子で目を輝かせていた。前日、仙台市から名古屋入りした。東日本大震災当日は避難所で不安な夜を過ごしたが、そこにも雑誌を持ち込み、チャンさんの写真を眺めて心の支えにした。実家に戻り、やっと電気が使えるようになると、真っ先に「グンちゃんのDVDを見ました」。

 会場を見渡せば、30~40代の女性が中心か。小中学生の子どもと一緒の母親の姿も目立つ。高齢の女性は意外に少ない。皆、初めてデートに行くような、待ちに待った遠足に出かけるような、上気した顔。主催者によると、今月7日までの12日間に延べ約2万1000人を動員した。札幌、福岡での開催も決まった。

 公式プロフィルによると、チャンさんはソウル市出身。5歳でモデルとしてデビューし、97年から韓国ドラマに出始めた。日本でブレークするきっかけになったのは、09年の連続ドラマ「美男(イケメン)ですね」だ。バンドのリーダー役で、天才肌の「オレ様」キャラクターを演じた。日本の地上波で10年秋から3回も放送され、これに「はまった」女性は多い。

 ここで「チャン・グンソク現象」を振り返ってみると--。

 4月に発売された日本でのデビューシングル「Let me cry」は初週で11万9000枚を売り上げ、男性ソロアーティストのデビュー曲としては近藤真彦さん以来30年ぶりとなるオリコン初登場1位を記録。7月下旬に出た初の公式写真集はオリコンの写真集部門で男性初の週間1、2位を独占した。チャンさんを表紙にしたのは女性誌「an・an」(マガジンハウス)3月30日号。発売直後から問い合わせが相次ぎ、今では「在庫がなくバックナンバーの入手は不可能」(編集部)とか。同号は化粧品特集で女性モデルや商品を表紙にするのが通例だけに、業界でも話題になった。

 その人気の秘密は、どこにあるのか。

 数年来の韓流ファンで、テレビのハングル講座にも出演しているタレントの大沢あかねさん(25)は「ドラマでは男らしいのに、ファンイベントや写真ではちゃめっ気たっぷりのグンちゃんが最高!」と、二つの魅力のギャップを挙げる。「若いママたちにはファッションセンスの良さも魅力ですね」。1児の母でもある大沢さんは言う。

 冒頭の企画展を訪れた岐阜市のパート従業員、伊藤珠美さん(42)も「いろんな顔を持っていて、どんどん知りたくなる」と話す。

 チャンさんの撮影に立ち会った男性ファッション誌「メンズノンノ」(集英社)の日高麻子編集長は、こう語る。「この服ならこの表情がいいよねと意見をきちんと言う。自分をどう見せるかを真剣に考えている人。美しさや親近感など人気者のあらゆる要素を兼ね備えているという印象ですね」。写真は10日発売の9月号の表紙を飾った。韓国男性俳優では初めてだ。

 比較するのに絶好の人物がいる。韓流スターの元祖「ヨン様」ことペ・ヨンジュンさん(38)だ。

 韓ドラの事情に詳しく「恋する韓流」の著書もある「韓流ナビゲーター」、田代親世さんは「グンちゃん人気には、『冬のソナタ』でブレークしたヨン様ブームと同じようなファンの熱気を感じる。『初めて韓国俳優に恋をした』と語る女性が多いことも共通しているようです」と語る。

 田代さんによると、ヨン様人気を支えた熟年女性らは、役を地でいくようなペさんの礼儀正しさや丁寧な言葉遣い、紳士的な雰囲気のとりことなった。一方、チャンさんの場合は「オレ様キャラ」の役のイメージを大事にしつつも、敬語抜きの「ため口」で呼びかけるなど自ら垣根を飛び越えてファンに近づこうとしているところが、従来の韓流スターとは異なるという。

 著書「KARA、少女時代に見る『韓国の強さ』」(講談社)などで、韓流好きをきっかけにした文化交流「深韓流」を提唱する法政大の朴〓玄(パクチョンヒョン)教授は「グンちゃんはヨン様の進化形。ファンへの礼儀は守りながら、より手が届きやすいと感じる存在」と解説する。

 実は、本国でのチャンさんの人気は日本ほど過熱はしていないという。「モムチャン(ハングルで鍛え上げられた美しい体、の意)」を称賛する韓国人にとっては、線が細すぎ、顔も少し中性的すぎるのだそうだ。「役者としては若過ぎる」という評価もある。

 ところが、日本では逆にそれらが強みになっているというのだ。「かわいくて親しみやすく、今後の成長も見込める。日本人特有の『私が育ててあげたい』という気持ちをかきたてるのでしょう」。そんな女性たちの気持ちを満たす新しい韓流スターが、チャンさんということか。

 「東方神起やKARAなどのK-POPアイドルが日本に定着したことも素地として大きい。彼らの活躍で、若い世代も韓流ドラマに注目するようになりましたから」。そう付け加えるのは田代さんだ。

 再び企画展の会場。先にコメントを求めた伊藤さんは、高校1年の長女、遥香さん(16)と一緒だった。「お母さん、(チャンさんの)ツイッターやブログを見てるらしくて、私が学校から帰ってくると毎日その話ばかり」と苦笑する。

 「母とグンちゃんの話をしていると楽しいし、実は私も、けっこういいなって思ってるんです。グンちゃんのファンは同級生にもいますよ」

 ショップでは、チャンさんの愛犬の縫いぐるみのほかに、8月の来日イベントに備えてうちわやタオルも買った。もちろん、2人で行くつもりだ。
by joonkoala | 2011-08-11 07:05 | 韓流スター
<< マネートゥデイ8/10☆ペ・ヨ... 朝鮮日報8/9☆キム・ヒョンジ... >>