人気ブログランキング | 話題のタグを見る

河北新報4/10☆変えよう地方議会 第6部(6)流用/問題予算、最後は追従☆ヨン様現れず



*河北新報  2010/04/10

連載*変えよう地方議会
第6部 なびく、まどろむ(6完)流用/問題予算、最後は追従

河北新報4/10☆変えよう地方議会 第6部(6)流用/問題予算、最後は追従☆ヨン様現れず_a0087238_10311559.jpg

【写真】いっとき「ヨン様」ブームに沸いた後、閉館した岩山漆芸美術館。4月以降の施設の活用策は決まっていない=盛岡市


<ヨン様現れず>
 執行部にないがしろにされれば議会は怒る。しかし、「原案通り可決」の結論が変わることはない。
 2009年8月1日、盛岡市の岩山漆芸美術館がリニューアルオープンした。韓国のスターで名誉館長に就いたペ・ヨンジュンさんの作品が展示の目玉。「会えるかもしれない」という期待から、ファンの女性たちが列をなした。
 施設は市が所有し、NPO法人が運営していたが、08年11月にいったん閉館。その後、漆芸ファンで同館を訪れたこともある「ヨン様」の人気で再起を図ろうと準備を進めた。市も施設を修繕するなど後押しした。
 だが、スターが姿を見せることはなかった。客足は低迷し、4カ月でまた閉館した。
 直後の12月定例市議会は紛糾し、市議から執行部批判の声が相次いだ。美術館の修繕費など1050万円を執行部が議会に諮らずにほかの予算から流用していたからだ。流用は法律では認められているが、通常は緊急の支出に限られている。
 当初から予算流用を問題視していた刈屋秀俊さん(56)は「予算を使う前に議会のチェックを受けるのは地方自治の鉄則。議決を経ないで予算を流用したのは議会無視だ」とかみついた。
 ほかの議員も「有名人を当てにしたばくちのような手法は行政としておかしい」と追及した。

<否決は大ごと>
 谷藤裕明市長ら執行部は「ヨン様効果に期待しなかったかと言えばそうでもない」と見通しの甘さを認めたが、「流用は認められた手法」と正当性は譲らなかった。
 市民から反発の声が上がり、議会は対決姿勢を強めた。しかし、流用した予算を穴埋めするための補正予算案を審査した常任委員会では結局、1人を除いてすべての議員が賛成した。議長の佐藤栄一さん(54)は「問題は多いが、否決となると大ごとだ」と議員の本音を代弁する。
 委員会はさらに、執行部に反省と信頼回復を求める付帯決議案も否決。振り上げた拳はどこかに飛んでいってしまった。
 議員の伊勢志穂さん(47)は「最後は必ず執行部案を通すのがこの議会のやり方。否決はもちろん、対案を出すこともない」と自嘲(じちょう)気味に話す。

<住民蚊帳の外>
 議会は執行部には配慮するのに、住民の声は聞こうとしない。
 3月定例会最終日の3月26日、議会は議員定数を42から38にする条例改正案を賛成多数で可決した。今秋の国勢調査で人口が30万を切ることが確実なため、一足先に法定上限に合わせた。
 伊勢さんら一部議員は「市民に意見を聞くべきだ」と主張したが、多くの議員は面倒な議論を避けたいのか、必要性を認めなかった。
 市役所3階の議会傍聴席は建物の構造上、裏口に面した階段からしか入れない。1階のエレベーターから直通の入り口を使えるのは、議員と執行部だけだ。住民に背を向ける議会を象徴しているように見える。
(地方議会取材班)

※第6部関連の対談を13日から掲載します。第7部は今月下旬に掲載します
by joonkoala | 2010-04-11 10:34 | ぺ・ヨンジュン
<< innolife4/12☆ペ・... innolife4/10☆ペ・... >>